黙過/下村敦史【感想・読後レビュー】ペットと家畜の命の重さは同じか?自分の家族と他人の命の重さは同じか?

BOOK

こんにちは。chai (@chai_jjjjj) です。
この記事では、「黙過」 下村敦史さんの著書。
2018/4/30刊行。
この本を読んだ感想と自分なりの咀嚼をしていきます。ネタバレはありません。

この本を読んだきっかけ・理由

この本を読んだきっかけはご本人のツイッターから。

どんな本?どんな人にオススメ?

「黙過」は簡単にカテゴライズすると医療ミステリーに該当すると思います
登場人物は主に外科の新人の医者に准教授、医療ジャーナリストなど。
一見異なった4つの事件が起こるのですが、
どれも何となくモヤモヤしたまま終わってしまいます。
しかし最後にどんでん返しとまさかの展開が待っています。
そういったジャンルが好きな人にはオススメの本です。
また実際に起こった医療系のニュースを思い出させる描写もあったりして、
単なるフィクションにとどまらないストーリーです。
この本を読み終わった時「黙過」の意味を考えさせられることでしょう…。

ペットと家畜の命は同じか?

4つの事件のうちの一つに、養豚場が舞台となる話があります。
(養豚場というと馴染みがないですが、事細かに作業風景が描写されていて、
読んでいて仕事の内容や豚の様子が伝わってきます。豚かわいい。)
登場人物の養豚場で働く女性、聡美は犬を飼っているのですが、
とある男性にこのように言われるシーンがあります。

『あんたの命を差し出せばペットを助けるといったらどうする?
人間と犬ーーどっちの命が重い?片方しか助けられないなら、大勢が人間を選ぶだろう。(略)
赤の他人とペットなら?あるいは犯罪者とペットなら結論は変わるか?』(本文より引用)

養豚場で働く女性は当然日々豚の命と引き換えに生計を立てています。
ある意味豚を死なせることが仕事です。
私たちが毎日美味しい肉を食べられるのも
こういった農業に携わる方達のおかげです。
しかしそれを当たり前と思いすぎているのではないか。
人間のためなら豚はどんどん殺しても構わないのか?

ペットである犬と家畜である豚の命の重さは違うのか…?
少し考えさせられる一文でした。

この本を読んで私が思ったこと

この本にはこのように、異なる二つの命があるとして、
その片方しか選べないとしたらどうするか?
という問いに
ぶつかる場面が出てきます。
それが人間同士の場合もあるしそうでない場合もあります。
「移植手術」や「安楽死」「動物愛護」など、
立場によってその命の扱い方や重さが変わってきます。
ペットショップにいっても犬や猫の種類によって値段が違ったり、
同じ犬同士でも犬種で流行り廃りがあったり、
考えさせられることが多いです。
この「黙過」という本はそんなきっかけを与えてくれる、
新しい形の医療ミステリーだと思います。